土木業界で施工管理としてのキャリアアップに役立つのが国家資格である2級土木施工管理技士です。これから資格取得を目指すうえで、合格率や試験内容が気になる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、2級土木施工管理技士の難易度や試験内容について解説します。2級土木施工管理技士の取得に向けた勉強方法も解説しているので、これから受検しようと考えている人は参考にして試験対策に役立ててください。
2級土木施工管理技士の資格難易度
まず、2級土木施工管理技士の過去2年間の「受検者数・合格者数・合格率」をみていきましょう。
第一次検定
下記は試験制度が変更されてからの、国土交通省の発表による過去2年間の合格率です。
年度 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和3年度 | 30,160人 | 21,876人 | 72.5% |
令和4年度 | 27,915人 | 17,814人 | 63.8% |
引用:国土交通省|令和3年度 2級土木施工管理技術検定「第一次検定(後期)」及び「第二次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度 2級土木施工管理技術検定「第一次検定(後期)」及び「第二次検定」合格者の発表
令和3年度、令和4年度では合格率は60%を超えています。それほど難しい試験ではないと考えられるため、資格勉強を怠らなければ合格できるでしょう。
第二次検定
下記は、国土交通省が発表している試験制度が変更されてからの過去2年間の合格率です。
年度 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
令和3年度 | 29,112人 | 11,838人 | 40.7% |
令和4年度 | 32,916人 | 12,409人 | 37.7% |
引用:国土交通省|令和3年度 2級土木施工管理技術検定「第一次検定(後期)」及び「第二次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度 2級土木施工管理技術検定「第一次検定(後期)」及び「第二次検定」合格者の発表
受検者数が多い一方で、合格率は半数を下回っており、難易度は高いといえるでしょう。第一次検定と比べて土木業界に関する専門的な知識が問われるため、事前にしっかりと試験対策しておくことが大切です。
2級土木施工管理技士の受検資格
以下では、2級土木施工管理技士の受検資格を紹介します。
なお、現行の技術検定受検資格は、制度改正により令和6年度から変更となります。記載のものは改正後受検資格です。
第一次検定 | 第二次検定 |
---|---|
17歳以上 (当該年度末時点) | 2級第一次検定合格後、実務経験3年以上 1級第一次検定合格後、実務経験1年以上 |
参照:国土交通省|令和6年度以降の技術検定の基本的な方針について
2級土木施工管理技士の第一次検定は、当該年度末時点で17歳以上であれば学歴・実務経験問わず、誰でも受検可能です。第二次検定は受検資格に実務経験が問われるため、第一次検定合格後に現場でそれぞれ定められた期間従事する必要があります。
2級土木施工管理技士の試験内容
2級土木施工管理技士の試験では、土木一般・専門土木・法規・施工管理・鋼構造物塗装、薬液注入などの知識が問われます。例年の傾向からみると、第一次検定はすべてマークシート形式となっており、必須問題と選択問題合わせて40問解答します。
第二次検定は、専門土木や施工管理の応用知識について問われる記述式の試験です。3つの種別ごとに必須問題と選択問題が27問出題されます。第一次検定・第二次検定ともに、解答した問題のうち正答率60%以上であれば合格することができます。
令和5年度の試験は、土木一般は近年の出題傾向を押さえていれば、比較的得点しやすい分野だったといえるでしょう。しかし、専門土木は土木工事の専門知識が求められる難問も多く、法規でも初出題や再出題問題が出るなど、対策が難しい試験だったといえます。
以下リンクから令和5年度の問題をチェックできます。
一般財団法人全国建設研修センター|令和5年度 2級土木施工管理技術検定 「第一次検定・第二次検定」
2級土木施工管理技士の取得メリット
そもそも2級土木施工管理技士を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。以下で詳しく解説します。
- 給与アップが期待できる
- 転職に有利となる
- 責任のある仕事を任せられる
- 土木施工管理技士1級の受検資格を得られる
給与アップが期待できる
2級土木施工管理技士の資格は、一定のスキルや知識を有していることが客観的に証明できる国家資格です。そのため、資格取得者は未取得者よりも給与や待遇面で優遇される場合があります。
具体的には、資格手当を支給する企業が多くあり、その分年収が上がります。資格手当の額は企業によって異なりますが、2級土木施工管理技士の場合は数千円程度が一般的です。また、社内でのキャリアアップ・昇進の際にも、資格取得者が有利になるケースがあるでしょう。
転職に有利となる
2級土木施工管理技士取得者は、転職時に施工管理に関するスキルや技術を有していることを証明できます。現状、施工管理技術者は人手不足の傾向にあるため専門スキルを持つ人は各企業で引く手あまたです。そのため、2級土木施工管理技士を取得している人は、採用担当者が応募書類を見た際に目に止まりやすく、採用される可能性が高くなるでしょう。
責任のある仕事を任せられる
2級土木施工管理技士取得者は、土木工事の現場で主任技術者として従事できます。主任技術者とは、元請・下請・請負金額を問わず、工事現場ごとに配置が義務付けられている現場の責任者のことです。
土木工事を請け負った業者は、現場に主任技術者を配置する必要がありますが、法律で定められた国家資格を有している者しか主任技術者になれません。2級土木施工管理技士は主任技術者の条件を満たしているため、現場で責任のある仕事を任されるでしょう。
1級土木施工管理技士の受検資格を得られる
2級土木施工管理技士の合格者は、1級土木施工管理技士の受検資格を得られます。現行制度では、2級合格後5年の実務経験を積むと1級の第一次検定・第二次検定ともに受検できるようになります。なお受検資格の制度改正後は、1級の第二次検定の受験には第一次検定への合格が必須となるため注意が必要です。
1級土木施工管理技士を取得すれば、主任技術者より責任のある監理技術者になれるため、キャリアアップ・年収アップが見込めるだけでなく、転職の際にも有利に働くでしょう。
2級土木施工管理技士を取得するための勉強方法
2級土木施工管理技士を取得するには、いくつかの勉強方法があります。以下で詳しくみてみましょう。
- 合格者の勉強時間を把握する
- 過去問に取り組む
- アプリや通信講座を活用する
- 模擬試験を受ける
合格者の勉強時間を把握する
勉強を始める前に、まずは2級土木施工管理技士の合格者がどれくらい勉強に時間を費やしているのかを把握することが大切です。試験勉強は、仕事の合間や休日を使って行う人が多いでしょう。
うまく勉強を進めるには、どれくらいの時間勉強すればいいかを把握し、逆算してスケジュールを立てなければなりません。具体的には、実務経験の長さや個人の計画性にもよりますが、60時間以上は確保できるようにしましょう。
過去問に取り組む
2級土木施工管理技士取得に向けて、過去問に取り組むことは非常に有効です。過去問に取り組むことで、試験の出題傾向や問題の解き方を理解できます。また、自分の苦手分野も把握できるため、効率的に学習を進められるでしょう。2級土木施工管理技士の過去問は、試験実施機関である一般財団法人全国建設研修センターの公式Webサイトで閲覧できます。
アプリや通信講座を活用する
2級土木施工管理技士の勉強方法として、アプリや通信講座を活用することもおすすめします。アプリや通信講座では、過去問や講義動画、問題集などの教材が提供されており、プロ講師の視点も得られるため、効率的に学習を進められます。また、アプリや通信講座は、隙間時間や移動時間でもスマートフォンで学習を進められるのもメリットです。
模擬試験を受ける
2級土木施工管理技士の模擬試験を受けることで、本番の試験に近い形式で自身の実力を測ることができます。模擬試験は、基本的に本番の試験と同じ時間制限で解くことになるため、時間配分やペース配分を意識した学習を行えるでしょう。模擬試験はWebサイト上で気軽に受けられるため、基礎知識が身についたと感じるタイミングで受検してみてください。
まとめ
2級土木施工管理技士の難易度を参考に試験対策しよう
2級土木施工管理技士の難易度は、第一次検定と第二次検定で大きく異なります。第一次検定は、土木工事の基礎知識や法規に関する出題が多く、近年の合格率をみても50%を大きく上回っているため比較的合格しやすいといえるでしょう。第二次検定は、専門土木や施工管理の応用知識の出題が多く、近年は合格率が低くなっています。
2級土木施工管理技士を取得することで、キャリアアップや年収アップが期待できるため、時間を使って勉強するメリットはあります。学習を進める際は、試験日から逆算して計画的にスケジュールを立て、過去問や模擬試験などに取り組むことで、合格の可能性が高まるでしょう。
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