建築・土木などの業界では、年々人手不足が深刻になっており、特に技術職である施工管理を担う人材が少なくなっているのが現状です。最近では、人手不足を解消するために「施工管理アシスタント」と呼ばれる施工管理の補助を行う人材を募集する企業が増えています。
施工管理アシスタントは、業界・職種未経験でも活躍できるため、これから建築・土木などの業界で働きたいと考えている人にとって、魅力的な職種だといえるでしょう。
この記事では、施工管理アシスタントについて解説します。具体的な仕事内容や向いている人の特徴などを知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
施工管理アシスタントとは
施工管理アシスタントとは、文字通り施工管理の補助をする職種です。以下で詳しく解説します。
そもそも施工管理とは
施工管理は、工事が安全かつ効率的に進めるために、工事現場の監督者としての責任を持つ重要な仕事です。施工管理の主な仕事内容は、以下の四大管理と呼ばれる管理業務です。
施工管理として、作業員や近隣住民の安全確保を最優先するためには、次のような安全対策を講じる必要があります。
- 安全管理
工事現場での安全を確保し、事故を未然に防止する - 品質管理
材料や工事の各段階で品質が保たれているかなどをチェック - 工程管理
工事スケジュールの計画・管理を行う - 原価管理
会社に利益が出るように材料・人件費などの管理を行う
また、四大管理の補助業務として、書類作成や報告書作成などの事務作業も行います。ほかにも、クライアントや行政との打ち合わせや、環境管理と呼ばれる管理業務を担う場合があります。
施工管理アシスタントの仕事
施工管理アシスタントとは、施工管理の補助的な業務を担当する職種のことです。施工管理の仕事を分担し、簡単な管理業務や事務作業を行います。具体的には、日報の作成・管理、品質チェックシートの作成・確認、安全管理の資料作成などです。施工管理者の指示のもと、現場の状況確認・写真撮影や簡易な品質チェックなども行います。
施工管理アシスタントが生まれた背景には、建築・土木業界における人手不足の深刻化があります。現場に施工管理アシスタントを配備することで、施工管理の業務量を減らすことができるだけでなく、働き方改革の推進にもつながっています。
施工管理と施工管理アシスタントの違い
施工管理と施工管理アシスタントの大きな違いは、業務における責任の範囲です。施工管理は現場監督として工事全体の責任を負っています。施工管理は作業員への指示出しや施主・行政との打ち合わせ、近隣住民からのクレーム対応など、責任のある仕事が主な業務です。
施工管理アシスタントは、あくまでも施工管理の補助的な役割であり、施工管理者からの指示をもとに業務を行います。一方で、自身が主導して四大管理や打ち合わせ、クレーム対応を行うことはほとんどありません。現場によって業務範囲は異なりますが、基本的には簡単な管理業務と事務作業のみを行います。
施工管理アシスタントは女性も活躍している
近年、施工管理アシスタントとして活躍している女性が増えています。工事現場は力仕事が多いというイメージから、建築・土木業は男性の職場と思われがちですが、業界全体の働き方改革の流れもあり、女性が活躍しやすい環境が整ってきています。
実際、国土交通省のデータでも女性技術者・技能者の割合は増加傾向にあり、より女性が活躍しやすい職種になっているといえるでしょう。
施工管理アシスタントの仕事内容
施工管理アシスタントが担う管理業務の補助や、簡単な事務作業の具体的な内容は以下の通りです。
- 四大管理業務の補助
- 工事写真の撮影、写真や書類の整理作業
- 各種書類の作成（報告書、請求書など）
- 資材・備品の管理
- 協力会社への業務連絡の伝達
- 工事進捗状況の記録
- 翌日の朝礼準備の作業
- 施工管理者から指示された簡単な事務作業など
施工管理者は現場巡回や打ち合わせ、毎日の朝礼などのさまざまな業務を抱えており、すべての業務を一人でこなすのは困難です。施工管理アシスタントがこれらの業務を行うことで、施工管理者の負担を軽減し、工事の円滑な進行に貢献できます。
施工管理アシスタントになるメリットとは
施工管理アシスタントになると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。以下では、主な4つのメリットについて紹介します。
- 未経験・無資格でも挑戦できる
- 手に職がつく
- 経験を積める・スキルアップにつながる
- 達成感がある
未経験・無資格でも挑戦できる
施工管理アシスタントは、施工管理の補助的な業務を担当する立場ですが、特に資格は必要ありません。建設業界は深刻な人手不足にあり、技術者の確保が難しい状況です。そのため、建設業界では未経験者・無資格者であっても歓迎しています。施工管理に興味はあっても資格がない、経験がないという人にとって、施工管理アシスタントは施工管理の第一歩を踏み出すための最適な仕事といえるでしょう。
手に職がつく
建設業界は深刻な人手不足の状況にあり、特に施工管理を担う技術者が不足しています。住居やショッピングモール、インフラ整備など、工事の需要は今後も続くことが予想されるため、施工管理アシスタントの雇用需要も高い状態が長期的に続くと考えられます。
また、施工管理アシスタントの仕事を通じて、建設業界で必要とされる資格取得が可能で、しっかりと経験と実績を積んでいけば、雇用の安定性も高いといえます。
経験を積める・スキルアップにつながる
施工管理アシスタントは、施工管理技士の仕事の補助をしていく中で、施工管理の仕事を経験できます。特に、施工管理者からの指示のもと、管理業務を現場で直接経験できるため、仕事を通じて必要な知識や技術を習得していくことが可能です。
また、資格取得支援制度がある企業もあり、働きながら資格を取得できる機会が得られます。スキルアップして現場で経験を積み、資格取得や現場からの信頼を得るなどすれば、キャリアアップも期待できるでしょう。
達成感がある
施工管理アシスタントはものづくりの現場に携わるため、竣工した時の達成感は格別です。建設プロジェクトの初期から完成までを見届けることができ、自分もプロジェクトの一員として貢献したという達成感を得られるでしょう。また、建設物の竣工時に、施主や関係者から喜ばれることにやりがいを感じられます。
施工管理アシスタントに向いている人の3つの特徴
施工管理アシスタントに向いている人はどのような人なのでしょうか。施工管理アシスタントに向いている人の特徴を3つ紹介します。
- 施工管理の仕事に興味がある人
- 事務作業が得意な人
- 忍耐力がある人
施工管理の仕事に興味がある人
施工管理の仕事は、建設工事の計画・管理・監督を担う仕事です。そのため、施工管理アシスタントとして働くことで、施工管理の基本的な知識やスキルを身につけることができます。また、現場の雰囲気や仕事の流れを身近で感じられるため、施工管理者を目指すうえでの重要な経験となります。
さらに、施工管理アシスタントとして働きながら知識を得ることで施工管理技士資格を取得でき、スキルアップやキャリアアップにつながります。施工管理アシスタントは、施工管理の仕事に興味があり、将来的に施工管理者を目指す人にとって、最適な手段といえるでしょう。
事務作業が得意な人
施工管理アシスタントは、各種書類の作成や資材の発注など、多くの事務作業を行います。そのため、事務作業が得意な人であれば、事務処理を効率的かつ正確に行うことができるでしょう。特に複数のタスクを同時進行に進める必要がある場合、高い事務処理能力が求められます。
書類作成や手続きをミスなくこなし、施工管理の業務負担を少しでも軽減することが大切なため、事務作業スキルが高ければ高いほど、施工管理アシスタントの業務を円滑に行うことができるでしょう。
忍耐力がある人
施工管理の仕事は忍耐力を求められることがあります。現場では、さまざまなトラブルや問題が発生することがあります。どのような状況下でも冷静に対処し、最後までやり遂げられる忍耐力が必要です。
まとめ
施工管理アシスタントは未経験でも挑戦できる
施工管理アシスタントは、施工管理の仕事を分担し、簡単な管理業務や事務作業を担う職種です。近年では、建築・土木などの業界において、技術者の人手不足が深刻となっています。そのため、未経験・無資格でも挑戦でき、女性で活躍する人も年々増えています。
施工管理アシスタントの仕事は、施工管理の仕事の一部を担うため、現場で施工管理の知識やスキルを身につけられるのが大きなメリットです。将来的に施工管理を目指す人にとっては、施工管理アシスタントになることで貴重な経験を得られるでしょう。
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