建築と建設の違いは何?それぞれの役割や業務内容、求められるスキルを紹介

建築と建設の違いは何?それぞれの役割や業務内容、求められるスキルを紹介

「建築」と「建設」はよく似た言葉で、普段何気なく使っている人も多いかもしれませんが、この2つには明確な意味の違いがあります。

この記事では、建築と建設の違いを、それぞれの役割や業務内容、求められるスキルや資格についてご紹介します。建築業界と建設業界どちらで働くか迷っている人は参考にしてください。

目次

建築と建設の違いは?それぞれの意味や定義について

建築と建設。どちらも「建てる」という言葉を含むため、混同されやすい言葉です。まずは、建築と建設、それぞれの意味と法律の定義を解説します。

建築とは

建築を英語でいうと「Architecture(アーキテクチャ)」となり、建物を設計・施工する行為を指します。

建築は建築基準法上、「建築物を新築、増築、改築又は移転すること」と定義されており、建物の設計・施工に特化した場合は「建築」となります。

建設とは

建設は英語でいうと「Construction(コンストラクション)」となり、建物に加えて、建築、土木、インフラ設備の整備も含めた広い概念を指します。つまり、建設には建築が内包されるといえるでしょう。

建設業界全体では、建設業に関わる人の資質の向上や建設工事の請負契約の適正化などを図ることによって建設工事の適正な施工の確保を目的とした、建設業法という法律が定められています。

建築業の役割や主な業務内容

建築業の役割は、住宅(戸建、マンションなど)、オフィスビル、店舗、工場、学校、病院、商業施設などの建物の設計、施工、維持管理を通して、人々が生活や活動をするうえで快適かつ安全な空間を作り出すことです。耐震性や防災性に優れた建物を建築することで、災害から人々の命と財産を守るという、建築業者としての責任が伴います。また近年では、ZEH(Net Zero Energy House:ゼッチ)対応やBIM(Building Information Modeling:ビム)の活用による高性能・高効率な建物の設計・施工なども求められます。

建築業の主な業務内容は以下の3点です。

  • 企画・設計
    施主の要望をヒアリングし、建築物のコンセプトを策定します。
    法令や基準に則って設計図を作成し、コストや工期を考慮しながら最適な施工計画を立案します。
  • 施工
    協力会社や建設機械を使って、設計図に基づいて建築物を施工します。
    安全管理に細心の注意を払い、事故や災害を防ぎます。同時に工程管理も行い、工期内に建築物を完成させます。
  • 維持管理
    建築物が完成した後も定期的に点検・修理を行い、安全性を維持させます。
    設備のメンテナンスや清掃などを行い、建物の機能を維持し、場合によってはリノベーションやリフォームなどを行い、建物の価値を高めます。

建築業界で求められるスキルや資格

建築業界で求められるスキルや資格は職種やキャリアパスによって異なりますが、ここでは一般的に求められるスキルや資格をご紹介します。

スキル

建築業界では、チームの一員として協力して目標達成を目指すコミュニケーション能力や営業力、伝達力、現場で発生する問題を迅速かつ適切に解決する問題解決能力、事故や災害を防ぐための高い安全意識、与えられた仕事を最後まで責任を持ってやり遂げる責任感が求められます。

そのほか、職種によってはBIM(Building Information Modeling:ビム)などのソフトウェアの活用スキル、英語などの外国語を話せる語学力、海外での建設プロジェクトに参加した経験などが役立つケースがあります。

資格

建築現場での作業に必要な資格・技能は、職種によって異なります。代表的な資格と試験概要、その資格を持っていることで担える業務をご紹介します。

建築士

建築士には2級と1級があり、試験は年に一度行われます。内容は学科試験や製図などです。この資格を取得していると、設計製図、施工管理、建築物の検査など、幅広い業務に携われます。

建築施工管理技士

施工管理技士には2級と1級があり、試験は年に一度行われます。内容は学科試験や実地試験などです。この資格を取得していると、施工計画の作成、工程管理、安全管理など、建築工事全体の円滑な推進に貢献できます。

建築施工管理技士について詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

CAD利用技術者

CADオペレーターの業務に役立つCAD利用技術者試験には、2次元CAD利用技術者試験と3次元CAD利用技術者試験があります。試験は筆記試験と実技試験の2つに分かれており、パソコンやソフトウェア、それに付随する知識の試験が行われます。この資格を取得していると、CAD利用技術者としてのスキルを証明でき、設計やCADシステム(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)を用いて機械や建築物などの設計図を作成できます。

CADオペレーターについて詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

建設業の役割や主な業務内容

建設業は、道路、橋梁、河川などの社会インフラを整備し、人々の暮らしを安全で快適なものにする役割を担っており、さらには、住宅、学校、病院などの公共施設、商業施設、オフィスビルなど民間施設の建設で経済活動の基盤を支え、社会の発展にも貢献しています。近年では、災害に強いインフラや環境負荷低減に配慮したインフラの整備にも関わっています。

建設業の業務内容は、大きく「企画・設計」「施工」「維持管理」の3つのフェーズで構成されており、この点は建築業と共通しています。それぞれの業務内容は以下の通りです。

  • 企画・設計
    • 施主の要望やニーズをヒアリングし、建物のコンセプトや基本計画を策定
    • 法令や基準に基づき、安全で機能的な建物の設計図を作成
    • 構造計算を行い、建物の強度や安定性を確保
    • 設備機器や配管の設計を行い、快適な空間を実現
    • 景観や周辺環境に配慮した都市計画やランドスケープデザインを作成
    • インテリアデザインを行い、居心地の良い空間を演出
  • 施工
    • 設計図に基づき、工程表や予算を作成し、施工計画を策定
    • 資材や人員を手配し、安全に工事を進める
    • 基礎工事、型枠工事、コンクリート打設工事、鉄筋工事、屋根工事、外壁工事、内装工事、電気工事、管工事、塗装工事、造園工事などを担当
    • 検査機関による検査をクリアし、建物の品質を管理
    • 近隣住民への配慮や環境への負荷低減に努めながら、工事を進める
  • 維持管理
    • 建物の定期点検や検査を行い、劣化や損傷を早期発見
    • 必要に応じて、修繕や改修工事を行い、建物の機能を維持
    • 設備機器の点検・整備を行い、快適な空間を維持
    • 清掃や消毒を行い、衛生的な環境を維持

建設業界で求められるスキルや資格

建設業界で求められるスキルや資格は職種などにより多様です。スキルと資格を分けて解説します。

スキル

建設業界では、建築業界で求められるスキルの中でも特に建設現場を円滑に進めるマネジメントスキルや、各方面の作業員などと緊密に連携できる高いコミュニケーション能力、BIM(Building Information Modeling:ビム)やCIM(Construction Information Modeling, Management:シム)などを理解し活用できるITスキルなどが求められます。

職種別で求められるスキルをまとめると以下のようになります。

職種求められるスキル
設計士設計図作成ソフトのスキル、建築に関する専門知識
施工管理技士施工計画の立案・管理能力、現場管理能力
大工職木工技術、図面読解能力
左官職左官材料の調合・塗り付け技術
電気工事士電気工事に関する専門知識、電気設備の施工技術
管工事士水道・ガス・空調設備に関する専門知識、設備の施工技術

資格

建設現場での作業に関連する資格・技能は職種によって異なりますが、代表的な資格としては以下のようなものがあります。

土木施工管理技士

土木施工管理技士には2級と1級があります。試験は学科と実地で構成されており、2級・1級ともに年2回行われます。この資格を所持していると、2級は主任技術者、1級は監理技術者として仕事に従事できます。

土木施工管理技士について詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

建築設備士

建築設備に関する専門知識と技能を証明する資格です。試験は学科と設計製図で、年に1回行われます。この資格を所持していると、建築士が建築設備の設計を行う際の助言やサポートができます。

測量士

測量に関する専門知識を証明する資格です。試験は筆記試験で年に1回行われます。この資格を取得していると、土地や建物など数多くの測量に携わることができます。

測量士について詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

技術士

科学技術に関する専門知識を証明する資格です。試験はマークシートによる択一式で年に1回行われます。この資格を取得していると、科学技術に関する計画や研究、設計、分析などを指導できるようになります。

電気工事士

電気工事士には第2種と第1種があり、試験は年に一度実施され学科試験や実地試験が行われます。この資格を取得すると、専門的な電気工事の施工に必要な知識と技能が備わっていることを証明でき、電気設備の新設、改修、修理、点検など、幅広い業務に携われます。

管工事施工管理技士

管工事施工管理技士は、上下水道設備やガス設備の施工、修理、点検などを行う仕事です。この資格を所持していると、現場の責任者として施工行程や品質、安全管理などの業務に携わることができます。

管工事施工管理技士には2級と1級があり、試験は年に一度実施され学科試験や実地試験が行われます。

施工管理についてより詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

建築業界と建設業界どちらで働くか迷ったら?

建築業界と建設業界は、どちらも建物を作る等の工事に携わる業界ですが、それぞれ異なる特徴を持っています。どちらの業界で働くべきか迷っている場合は、以下の点を考慮して自分に合った業界を選ぶと良いでしょう。

建築業界では、建物の設計、施工、監理などの業務を行います。建設業の中でも特に建物に興味のある方に向いています。建設業界は、建築に加え道路・橋・トンネルなどのインフラ整備、さらには河川工事、災害復旧工事などを含みますので、幅広い仕事に挑戦したい人に向いているといえるでしょう。

建築業界はキャリアの観点から考えると、将来的なポイントとしては、建築士として独立開業したり、設計事務所で設計者としてキャリアアップしたりが可能です。建築施工管理技士として責任者を務めたり、ゼネコンで管理部門や営業部門に異動したりするルートも考えられます。

建築以外での建設業界では、土木や設備などの業界で設計者としてのキャリアアップや施工管理技士として責任者を努めたり、管理部門や営業部門に異動することも考えられます。

また、この記事で解説してきた、それぞれに求められるスキルや資格の有無も判断材料となるでしょう。

まとめ

建築は建設の一部であり、建設はより広い範囲の活動を指します。
建築も建設も、社会にとってなくてはならない重要な仕事ですが、それぞれの違いを理解すれば、あなたが進むべき道はより明確に見えてくるはずです。

株式会社ネオコンストラクション
当社は、関東・関西を拠点に、日本全国の建設会社に技術者を派遣している人材派遣会社です。
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