1級施工管理技士とは?メリットや難易度について解説

1級施工管理技士とは?メリットや難易度について解説

施工管理技士の資格は、「2級・1級」の2段階に分かれていますが、具体的にどのような違いがあるかご存知でしょうか。1級施工管理技士を取得すると、より責任のある職務を担えるようになるため、年収が上がりやすく転職にも有利になります。

この記事では、1級施工管理技士について解説します。1級施工管理技士を取得するメリットや試験の難易度についても解説しているので、これから施工管理技士資格を取得したいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。

目次

1級施工管理技士とは

1級施工管理技士とは

施工管理技士とは、建築・土木などの現場で施工の企画・管理、指揮監督などの役割を担うための国家資格です。

施工管理の仕事は資格がなくてもできます。しかし、1級施工管理技士の資格を取得することで、建設業許可を受けた営業所ごとに必須の専任技術者及び施工現場に配置する監理技術者としての活動を認められます。

そのため、施工管理において極めて重要な資格であり、工事現場における施工管理上の技術責任者として重要なポジションを担えるようになります。

施工管理技士資格は「2級・1級」に分かれており、より取得難易度が高いのが「1級施工管理技士」です。1級施工管理技士を取得するには、「第一次検定」「第二次検定」に合格する必要があります。

受検資格

1級施工管理技士の受検資格は、下記の通りです。

2024年3月31日までの受検資格

スクロールできます
  学歴施工管理に関する実務経験年数
指定学科指定学科以外
大学
専門学校の「高度専門士」
卒業後3年以上卒業後4年6か月以上
短期大学
高等専門学校
専門学校の「専門士」
卒業後5年以上卒業後7年6か月以上
高等学校
中等教育学校
専修学校の専門課程
卒業後10年以上卒業後11年6か月以上
その他15年以上

引用:厚生労働省|技術検定の受検資格の概要

なお、上記は各種施工管理技術検定に共通している受検資格を表記しています。試験ごとの詳細な受検資格は、下記のリンクを参照してください。

2024年4月1日以降の受検資格

第一次検定第二次検定
19歳以上
(当該年度末時点)
1級第一次検定合格後、
実務経験5年以上
特定実務経験*1 1年以上を含む、実務経験3年以上
監理技術者補佐としての実務経験1年以上
2級第二次検定合格後、
実務経験5年以上(1級第一次検定合格者に限る)
特定実務経験1年以上を含む、実務経験3年以上(1級第一次検定合格者に限る)

参考:国土交通省|技術検定制度概要

*1 請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事において、監理技術者・主任技術者(当該業種の監理技術者資格者証を有する者に限る)の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験

1級施工管理技士補とは

施工管理技士補とは、1級施工管理技士の補佐をするための資格・役割のことです。施工管理技士の1級第一次検定に合格すると、「1級施工管理技士補」の資格を取得できます。

1級施工管理技士補の資格を取得することで、監理技術者のアシスタント業務を担うことができ、施工計画の立案、工程管理、品質管理、発注者との打ち合わせ、資材の発注、他の社員への指導、予算管理などを経験できます。

1級施工管理技士を取得する3つのメリット

1級施工管理技士を取得することで企業から重宝され、待遇面で有利になる場合があります。ここでは、1級施工管理技士を取得するメリットを3つ紹介します。

収入が上がる

資格を取得することで、収入アップが期待できるでしょう。施工管理の仕事に資格は必要ありませんが、「資格手当」を支給している企業もあります。

ネオコンストラクションの求人でも、福利厚生として資格手当が支給される旨が記載されています

また、1級施工管理技士は2級と比べて工事現場で任される仕事の幅が広く責任も大きくなるため、その分給与が上がりやすいといえます。

主任技術者・監理技術者になれる

施工管理技士の資格を取得すると、主任技術者・監理技術者になれるメリットがあります。主任技術者・監理技術者の概要は下記の通りです。

  • 主任技術者
    建設業者が行う工事において、監理技術者が必要な工事以外、元請・下請に関わらず全ての工事現場で配置する必要がある
  • 監理技術者
    元請業者が4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の下請契約を締結した特定建設業者は、工事を施工する工事現場において、主任技術者に代わって配置が義務付けられている

国家資格である「1級施工管理技士」を取得することで、監理技術者・主任技術者(2級でも可)としての要件を満たせます。監理技術者や主任技術者は工事現場において必要な存在のため、1級施工管理技士資格を有していれば、昇給や昇進のチャンスも得られるでしょう。

参考:国土交通省|技術者制度の概要

転職に有利になる

1級施工管理技士の保有者は、工事を請け負う企業から重宝される存在であるため、転職時に有利に働きます。企業は、国や地方自治体などが発注する公共工事を受注する場合、経営事項審査を受けなければなりません。

経営事項審査では、企業の経営状況や技術力が審査されますが、審査事項のなかに「1級施工管理技士の人数」が含まれています。1級施工管理技士1人につき点数が加算されるため、企業にとっては重要な存在だといえます。

そのため、1級施工管理技士を持っていれば企業からの印象が良くなり、高待遇で転職しやすくなるでしょう

参考:国土交通省|経営事項審査の審査基準の改正について

1級施工管理技士の難易度

1級施工管理技士の難易度

ここでは、1級施工管理技士試験の難易度・合格率を紹介します。これから1級施工管理技士の試験を受けようと考えている人は、受検時の参考にしてみてください。

建築施工管理技士

1級建築施工管理技士の受検者数・合格率は下記の通りです。

年度検定区分受検者数合格者数合格率
令和3年度第一次検定22,277人8,025人36.0%
第二次検定12,813人6,708人52.4%
令和4年度第一次検定27,253人12,755人46.8%
第二次検定13,010人5,878人45.2%

引用:施工管理技術検定|令和3年度1級建築施工管理技術検定 結果発表
施工管理技術検定|令和4年度1級建築施工管理技術検定 結果発表

令和4年度の1級建築施工管理技士試験は、第一次検定・第二次検定ともに、半数近くの合格者が出ています。簡単とはいえませんが、対策をしっかり行っておけば合格できるでしょう。

土木施工管理技士

1級土木施工管理技士の受検者数・合格率は下記の通りです。

年度検定区分受検者数合格者数合格率
令和3年度第一次検定37,726人22,851人60.6%
第二次検定26,558人9,732人36.6%
令和4年度第一次検定38,672人21,097人54.6%
第二次検定24,462人7,032人28.7%

引用:国土交通省|令和3年度1級土木、施工管理技術検定「第一次検定(後期)」及び第二次検定合格者の発表
国土交通省|令和4年度1級土木、施工管理技術検定「第一次検定(後期)」及び第二次検定合格者の発表

1級土木施工管理技士第一次検定の合格率は50%を超えていますが、第二次検定は30%程度です。第二次試験で難易度が上がるので、十分な対策が必要といえます。

電気工事施工管理技士

1級電気工事施工管理技士の受検者数・合格率は下記の通りです。

年度検定区分受検者数合格者数合格率
令和3年度第一次検定15,001人7,993人53.3%
第二次検定7,922人4,655人58.8%
令和4年度第一次検定16,883人6,458人38.3%
第二次検定7,685人4,537人59.0%

引用:国土交通省|令和3年度1級建築・電気工事施工管理技術検定「第一次検定」合格者の発表
国土交通省|令和3年度 建築・電気工事施工管理技術検定(1級・2級) 「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度1級建築・電気工事施工管理技術検定「第一次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度 建築・電気工事施工管理技術検定(1級・2級) 「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表

近年の1級電気工事施工管理技士試験の合格率は、令和4年度の第一次試験以外、50%を超えています。対策を怠ってはいけませんが、基本知識を押さえておけば合格につながるでしょう。

管工事施工管理技士

1級管工事施工管理技士の受検者数・合格率は下記の通りです。

年度検定区分受検者数合格者数合格率
令和3年度第一次検定15,827人3,792人24.0%
第二次検定4,540人3,330人73.3%
令和4年度第一次検定16,839人7,231人42.9%
第二次検定6,618人3,769人57.0%

引用:国土交通省|令和3年度 1級管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定「第一次検定」合格者の発表
国土交通省|令和3年度管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定(1級・2級)「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度 1級管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定 「第一次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定(1級・2級) 「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表

1級管工事施工管理技士の難易度は、年度によって大きく変動しています。また、第一次検定の合格率は低い傾向にあるため、基礎的な知識をしっかりと身につけておくことが重要です。

電気通信工事施工管理技士

1級電気通信工事施工管理技士の受検者数・合格率は下記の通りです。

年度検定区分受検者数合格者数合格率
令和3年度第一次検定8,076人4,730人58.6%
第二次検定6,147人1,852人30.1%
令和4年度第一次検定7,300人3,982人54.5%
第二次検定5,630人2,108人37.4%

引用:国土交通省|令和3年度 1級管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定「第一次検定」合格者の発表
国土交通省|令和3年度管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定(1級・2級)「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度 1級管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定 「第一次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定(1級・2級) 「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表

1級電気通信工事施工管理技士の試験難易度は、第一次検定は半数を超えていますが、第二次検定はここ2年で3割程度に止まっています。第二次検定が高いハードルとなっているため、試験対策を確実にする必要があるでしょう。

建設機械施工管理技士

1級建設機械施工管理技士の受検者数・合格率は下記の通りです。

年度検定区分受検者数合格者数合格率
令和3年度第一次検定2,337人621人26.6%
第二次検定569人369人64.9%
令和4年度第一次検定2,560人677人26.4%
第二次検定866人456人52.7%

引用:国土交通省|令和3年度建設機械施工管理1級・2級第一次検定合格者の発表について
国土交通省|令和3年度建設機械施工管理1級・2級第二次検定合格者の発表について
国土交通省|令和4年度建設機械施工管理1級・2級第一次検定合格者の発表について
国土交通省|令和4年度建設機械施工管理1級・2級第二次検定合格者の発表について

1級建設機械施工管理技士の試験は、筆記試験のみの第一次検定の難易度が高く設定されています。実技検定も行われる第二次検定は半数を超えているため、座学知識を確実に習得しておくことが大切です。

造園施工管理技士

1級造園施工管理技士の受検者数・合格率は下記の通りです。

年度検定区分受検者数合格者数合格率
令和3年度第一次検定3,008人1,080人35.9%
第二次検定1,477人591人40.0%
令和4年度第一次検定3,091人1,360人44.0%
第二次検定1,471人677人46.0%

引用:国土交通省|令和3年度 1級管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定「第一次検定」合格者の発表
国土交通省|令和3年度管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定(1級・2級)「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度 1級管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定 「第一次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定(1級・2級) 「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表

1級造園施工管理技士の合格率は、第一次検定・第二次検定ともに半数を下回ることが多く、難易度は少し高めに設定されているようです。試験対策では、基礎知識を確実に習得する必要があるでしょう。

1級施工管理技士に合格するための勉強方法とは

1級施工管理技士に合格するための勉強方法とは

1級施工管理技士の試験に合格するための勉強方法を紹介します。

計画性を持って勉強スケジュールを組む

1級施工管理技士の試験に挑むには、まず勉強スケジュールを計画することが重要です。

資格試験の勉強は、仕事の終わりや休日に行うことが多いはずです。無理なスケジュールを組んでしまうと、急な残業や休日出勤が入った際、計画通りに勉強できない可能性があります。

たとえば、試験日の半年前から勉強を始めれば、不測の事態にも備えた上で余裕を持って対策できるでしょう。

通信講座・アプリを活用する

1級施工管理技士の勉強する際に、通信講座やアプリを活用すると効率的に学べます。独学だと「どの部分を重点的に学べば良いかわからない」「試験日までにモチベーションが保てない」といったことが起こり得ます。

そこで通信講座やアプリを活用すれば、プロ視点の勉強方法やスケジュールの組み方まで教えてくれます。また、プロからの添削によって自分の課題点や弱点も明確になりやすいのもメリットです。

独学で学ぶのが不安な人は、通信講座やアプリを活用することを検討してみてください。

模擬試験を受ける

1級施工管理技士には、全国で開催される模擬試験やWeb模試があります。模擬試験は過去の傾向から問題が作られています。模擬試験を受けることで自分が間違えやすい部分が明確になるため、試験直前の対策に活用できるでしょう。

模擬試験は、施工管理技士資格の講座を開講している専門学校や通信講座で開催されます。1級施工管理技士の試験を受ける人はぜひチェックしてみてください。

まとめ

1級施工管理技士を取得することで、年収アップや転職に有利に働くなどのメリットが得られます。工事を行う企業にとって、「1級施工管理技士」の保有者は欠かせない存在のため、施工管理の仕事に就きたい人は1級施工管理技士の取得に挑戦するのがおすすめです。

1級施工管理技士を取得するには、第一次検定・第二次検定に合格する必要があります。しかし、7種類の施工管理技士試験のほとんどで極端に難易度が高いものは少なく、基礎的な知識をしっかりと身につけておけば合格できるでしょう。

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