造園施工管理技士の仕事内容とは?年収や検定概要、取得メリットについて詳しく解説

造園施工管理技士の仕事内容とは?年収や検定概要、取得メリットについて詳しく解説

造園施工管理技士は、市民が快適に生活するために欠かせない重要な仕事です。しかし、造園施工管理技士の仕事について詳しい人は少ないかもしれません。造園施工管理技士は具体的にどんな仕事なのか、資格はどうすれば取得できるのでしょうか。

この記事では、造園施工管理技士の資格や仕事内容、年収、検定概要、さらに資格を取得するメリットなどを詳しく解説します。

目次

造園施工管理技士とは

造園施工管理技士とは

造園施工管理技士は、国土交通省が管轄する施工管理技士の国家資格の一つです。公園や庭園、緑地などの造園工事の計画・実施・監理を行う専門家であり、工事現場で求められる知識や技術を持っています。

造園施工管理技士の資格は2級と1級に区分されており、受検資格や試験内容、請け負う業務範囲も異なります。

造園施工管理技士の仕事内容

造園施工管理技士の主な仕事内容は以下の通りです。

  • 設計図に基づいた工事計画の作成
  • 工事費用の見積もり
  • 工事現場での品質・安全・進捗の管理
  • 関係業者との調整
  • 関連書類の作成

2級造園施工管理技士は「主任技術者」、1級造園施工管理技士は「主任技術者」に加え「監理技術者」としても現場に配置できます。主任技術者は現場の施工で主にスキル面での管理を担当し、監理技術者は主任技術者の担当範囲に加え、関連業者の指導や監督も行います。

主任技術者が担当できるのは一定の規模以下の工事ですが、監理技術者は主任技術者よりも責任範囲が広く、より高度な知識と技術が求められます。また、1級造園施工管理技士は工事代金が4,000万円を超えるような大規模な工事も担当できるようになるのです。

造園技能士との違い

造園施工管理技士も造園技能士も造園業界で重要な役割を担う資格ですが、求められる役割や求められる能力に違いがあります。

前述の通り、造園施工管理技士は設計図の作成や工事の見積もり、工事現場での品質、安全、進捗の管理などを行うのに対して、造園技能士は造園工事現場で専門的な知識と技術を用いて作業を担います。具体的には植栽、剪定、舗装、垣根工事などです。

また、造園施工管理技士には造園に関する幅広い知識とマネジメント能力、コミュニケーション能力、企画力などが求められるのに対し、造園技能士には造園作業に関する専門的な知識と技術、体力、丁寧さなどが求められます。

造園施工管理技士の年収はどれくらい?

造園施工管理技士の年収は経験年数や年齢などにより幅がありますが、300万円台〜600万円台が多いようです。造園施工管理技士の資格を持つ社員に資格手当を支給している企業も多く、資格を取得することで収入アップが期待できます。

なお、厚生労働省のデータによると、造園工の年収は全国平均で374.4万円、ピークは45歳〜49歳でおよそ460万円となっています。

参照:job tag|造園工

造園施工管理技術検定の概要

造園施工管理技術検定の概要

次に、造園施工管理技士の資格を取得するための「造園施工管理技術検定」の概要を解説します。

2級造園施工管理技術検定

2級造園施工管理技術検定には、第一次検定と第二次検定があり、第一次検定は前期と後期の2度実施されます。第一次検定のみ受検する場合は前期に受検しましょう。後期の試験は第二次検定と同日に実施されるため、第二次検定も同時に受検したい場合は後期に受検します。

受検資格・費用

● 受検資格

2級造園施工管理技術検定・第一次検定の受検資格は、試験実施年度末で年齢が17歳以上であれば誰でも受けることができます。令和6年度でいえば、平成20年4月1日に生まれた人までが対象となります。

第一次検定

必要条件
17歳以上(受検年度末時点)

第二次検定の受検資格は、2級造園施工管理技術検定・第一次検定の合格者で、次のいずれかに該当する人です。
なお、第二次検定は令和6年度以降から受検資格が変わっており、新たな受検資格要件は下記となっています。

第二次検定 受検資格(令和6年度以降)

受検資格要件第二次検定の受検に必要な実務経験年数
令和3年度以降の1級第一次検定合格者合格後、1年以上の実務経験年数
令和3年度以降の2級第一次検定合格者合格後、3年以上の実務経験年数

ただし、制度の改正に伴う経過措置として、令和6年度から令和10年度までの5年間は、新たな受検資格か令和5年までの旧受検資格のどちらかに当てはまっていれば受検資格を得られます。

第二次検定 受検資格(令和5年まで)

スクロールできます
学歴と資格造園施工に関する実務経験年数
指定学科指定学科以外
大学
専門学校の「高度専門士」
卒業後1年以上卒業後1年6か月以上
短期大学卒業者
高等専門学校卒業者
専門学校の「専門士」
卒業後2年以上卒業後3年以上
高等学校
中等教育学校
専修学校の専門課程
卒業後3年以上卒業後4年6か月以上
その他8年以上
技能検定合格者4年以上
  • 第一次検定免除者も含む

より詳細な解説は、以下の参考ページより参照ください。

● 受検費用

受検費用(手数料)は、以下の通り(いずれも非課税)です。

受検費用
第一次検定・第二次検定14,400円(非課税)
第一次検定または第二次検定のみ7,200円(非課税)

試験日程・時間

試験は毎年1回、ほぼ同じ時期に実施され、第一次検定(前期・後期)は午前中、第二次検定は午後に行われています。

試験日時間
第一次検定(前期)毎年6月10時15分~12時40分
第一次検定(後期)毎年11月10時15分~12時40分
第二次検定13時45分~16時00分

1級造園施工管理技術検定

1級造園施工管理技術検定にも、第一次検定と第二次検定があります。

受検資格・費用

● 受検資格

1級造園施工管理技術検定・第一次検定の受検資格は、試験実施年度末で年齢が19歳以上であれば誰でも受けることができます。令和6年度でいえば、平成18年4月1日に生まれた人までが対象となります。

第一次検定

必要条件
19歳以上(受検年度末時点)

1級造園施工管理技術検定・第二次検定の受検資格は、令和3年度以降の1級第一次検定に合格しており、下記の実務経験がある者です。2級と同じく、1級も第二次検定の資格要件が変更されました。第二次検定の受検資格要件は下記となっております。

第二次検定 受検資格(令和6年度以降)

スクロールできます
受検資格要件第二次検定の受検に必要な実務経験年数
令和3年度以降の1級第一次検定合格者合格後、5年以上の実務経験年数
合格後、特定実務経験1年以上を含む3年以上の実務経験年数
合格後、監理技術者補佐としての1年以上の実務経験年数
2級第二次検定(旧実地試験含む)に合格した後、1級第一次検定に合格した者(1級第一次検定受検予定者を含む)2級合格後、5年以上の実務経験年数
2級合格後、特定実務経験1年以上を含む3年以上の実務経験年数

こちらも、令和6年度から令和10年度までの5年間は経過措置が設けられており、新たな受検資格と令和5年までの旧受検資格のどちらかに当てはまっていれば受検が可能です。

第二次検定 受検資格(令和5年度まで)
令和3年度以降の1級第一次検定に合格し、かつ、下記(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)の実務経験がある者

スクロールできます
区分学歴と資格造園施工に関する実務経験年数
指定学科指定学科以外
(イ)大学
専門学校の「高度専門士」
卒業後3年以上卒業後4年6か月以上
(1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていること)
短期大学
高等専門学校(5年制)
専門学校の「専門士」
卒業後5年以上卒業後7年6か月以上
(1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていること)
高等学校
中等教育学校
専修学校の専門課程
卒業後10年以上卒業後11年6月以上
(1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていること)
その他(学歴を問わず)15年以上
(1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていること)
スクロールできます
区分学歴と資格造園施工に関する実務経験年数
指定学科指定学科以外
(ロ)2級造園施工管理技術検定第二次検定に合格した者合格後5年以上
(1年以上の指導監督的実務経験年数が
含まれていること)
2級造園施工管理技術検定第二次検定合格後、実務経験が5年未満の者高等学校
中等教育学校(中高一貫6年)
専修学校の専門課程
卒業後9年以上卒業後10年6か月以上
(1年以上の指導監督的実務経験年数が
含まれていること)
その他(学歴を問わず)14年以上
(1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていること)
スクロールできます
区分学歴と資格造園施工に関する実務経験年数
指定学科指定学科以外
(ハ)技能検定合格者
職業能力開発促進法による1級「造園」技能検定合格者
10年以上
1年以上の指導監督的実務経験年数が含まれていること。
スクロールできます
区分学歴と資格造園施工に関する実務経験年数
指定学科指定学科以外
(ニ)専任の主任技術者の実務経験が1年(365日)以上ある者2級造園施工管理技術検定第二次検定に合格した者合格後3年以上
2級造園施工管理技術検定第二次検定合格後、実務経験が3年未満の者短期大学
高等専門学校(5年制)
専門学校の「専門士」
卒業後7年以上
高等学校
中等教育学校(中高一貫6年)
専修学校の専門課程
卒業後7年以上卒業後8年6か月以上
その他(学歴を問わず)12年以上
その他高等学校
中等教育学校(
中高一貫6年)
専修学校の専門課程
卒業後8年以上卒業後9年6か月以上

職業能力開発促進法による2級「造園」技能検定合格者に限る。(合格証書の写しが必要。)この資格を取得していない場合11年以上。
その他(学歴を問わず)13年以上
スクロールできます
区分学歴と資格造園施工に関する実務経験年数
指定学科指定学科以外
(ホ)指導監督的実務経験年数が1年以上、主任技術者の資格要件成立後、専任の監理技術者の指導のもとにおける実務経験が2年以上ある者2級造園施工管理技術検定第二次検定に合格した者合格後3年以上
高等学校
中等教育学校(中高一貫6年)
専修学校の専門課程
指定学科を卒業後8年以上

参照:一般財団法人 全国建設研修センター|「1級造園施工管理技術検定

より詳細な情報は、以下の参考ページよりご確認ください。

● 受検費用

受検費用(手数料)は、以下の通り(いずれも非課税)です。

受検費用
第一次検定14,400円(非課税)
第二次検定14,400円(非課税)

試験日程・時間

第一次検定の試験日は、毎年9月上旬、第二次検定の試験日は、毎年12月上旬に設定されています。

試験日時間
第一次検定毎年9月9時45分~15時45分
第二次検定毎年12月13時00分~16時00分

資格取得までの流れ

造園施工管理技士の資格取得までの流れを解説します。
第一次検定、第二次検定ともにインターネットまたは書面での申し込みが可能です。申し込み期間は、毎年以下の時期に設定されます。

  • 2級造園施工管理技術検定
    第一次検定(前期)…2月中旬〜3月中旬
    第一次検定(後期)及び第二次検定…6月下旬〜7月下旬
  • 1級造園施工管理技術検定
    第一次検定…5月上旬〜5月下旬
    第二次検定…10月上旬〜10月中旬

合格発表は毎年おおよそ以下の時期に設定されます。

  • 2級造園施工管理技術検定
    第一次検定(前期)…7月上旬
    第一次検定(後期)…1月上旬
    第二次検定…3月上旬
  • 1級造園施工管理技術検定
    第一次検定…10月上旬
    第二次検定…3月上旬

造園施工管理技士の資格取得の流れは、1級・2級とも一般財団法人全国建設研修センターのWebサイト内に「受検の手引き」として詳しく記載されているので、そちらも併せてご確認ください。

試験の合格率と難易度

国土交通省が発表した、令和4年度の2級造園施工管理技術検定と1級造園施工管理技術検定試験の受検者数と合格者数、合格率、合格基準を以下にまとめました。

スクロールできます
2級造園施工管理技術検定1級造園施工管理技術検定
第一次検定(前期)第一次検定(後期)第二次検定第一次検定第二次検定
受検者数1,761人2,983人2,474人3,091人1,471人
合格者数961人1,691人1,005人1,360人677人
合格率54.6%56.7%40.6%44.0%46.0%
合格基準40問中24問以上正解40問中24問以上正解得点が60%以上得点が60%以上得点が60%以上

引用:国土交通省|令和4年度 1級管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定 「第一次検定」合格者の発表
国土交通省|令和4年度2級技術検定「第一次検定(前期)」合格者の発表
国土交通省|令和4年度管工事・電気通信工事・造園施工管理技術検定(1級・2級) 「第一次検定(2級後期)」及び「第二次検定」合格者の発表

合格率は、2級造園施工管理技術検定の第一次検定が50%台、2級造園施工管理技術検定の第二次検定と1級造園施工管理技術検定が40%台となっています。1級造園施工管理技術検定は第一次検定・二次検定ともに難易度が少し高めといえそうです。

造園施工管理技士を取得するメリット

では、造園施工管理技士の資格を取得するメリットはどんなところにあるのでしょうか。2点ご紹介します。

転職に有利になる

造園施工管理技士は国家資格であり、建設業における重要資格の一つです。造園などの現場では主任技術者や監理技術者の配置が義務付けられているため、需要の高い資格といえ、就職・転職活動で有利に働くでしょう。また、ほかの資格と同様、自身の能力の証明にもなります。

特に1級造園施工管理技士は大規模な造園工事の監理責任者になれるため、人材としての希少価値が高く、高収入も期待できます。

年収アップにつながる

造園施工管理技士の有資格者に手当を支給している会社は多く、直接的な年収アップが期待できます。現場での実務経験と組み合わせることでキャリアアップを図れば昇進も期待でき、さらなる高収入が得られる可能性もあります。

まとめ

造園施工管理技士は、造園工事の現場で求められる知識と技術を兼ね備えた専門家です。資格取得には実務経験と試験合格が必要ですが、取得することでさまざまなメリットを得ることができます。

造園業界に興味がある人は、ぜひ造園施工管理技士資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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