施工管理は建築・土木などの工事現場に欠かせない重要な仕事ですが、「施工管理の仕事はきつい」といわれることも少なくありません。では、なぜ施工管理はきついといわれるのでしょうか。
この記事では、施工管理の役割や業務内容、きついと感じる理由やその対処法、きついだけではない施工管理のやりがいを解説します。
施工管理の役割や業務内容
施工管理は、建設工事で工事が計画通りに進み、安全かつ品質の高い建物が完成するように管理する仕事です。現場の司令塔として、関係業者との調整、協力会社への指示、安全管理、品質管理、工程管理、原価管理など、幅広い業務を担います。
施工管理の主な業務内容を具体的に見ていきましょう。
| 安全管理 | 現場の安全を確保するための措置を講じ、事故を未然に防ぐ。 |
|---|---|
| 品質管理 | 設計図書通りに施工されていることを確認し、必要に応じて是正指示を出す。 |
| 工程管理 | 工事スケジュールを作成し、工程の進捗状況を管理する。 |
| 原価管理 | 工事費が予算内に収まるように管理する。 |
| 書類管理 | 各種工事書類を作成・管理する。 |
| 関係業者との調整 | 発注者、設計者、下請業者など、関係する各業者との調整を行う。 |
施工管理は、プロジェクトの成否を左右する重要な役割を担っています。責任も重く、常に高いスキルと意識が求められる仕事です。
施工管理の仕事内容や待遇などを詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
施工管理がきついと感じる理由は？
施工管理は建築・土木などの工事全体の円滑な遂行に向けた重要な役割を担いますが、その責任の重大さや労働環境の過酷さから、「きつい仕事」と感じる人は少なくありません。
施工管理の仕事がきついと感じられる理由には、主に以下の6つが挙げられます。
勤務時間が長い・残業が多い
施工管理は勤務時間が長く、残業が多いといわれています。現場の状況によっては早朝や深夜の勤務も発生します。特に、繁忙期や納期直前、検査や工程の切り替え時期は繁忙期となり、夜遅くまで残業したり、休日出勤したりすることが多くなります。
厚生労働省が発表した令和6年度4月の所定外労働時間の統計データでは、調査対象16業種の月間総実労働時間が141.9時間に対し、建設業は168.5時間で、2番目に多い結果となっています。
プライベートとの両立が難しい
施工管理は勤務時間が長く、残業が多いうえに出張や移動も多いことから、プライベートな時間が確保しにくいといわれます。休日をとるタイミングは現場の工期に左右されることが多く、加えて急な出勤もあります。現場の場所によっては自宅から離れた場所で仕事にあたる場合や、宿泊を伴う出張も少なくありません。
現場での作業が体力的にハード
施工管理は、現場監督として協力会社の作業状況を確認したり、指示を出したりするため常に現場を巡回します。一日の多くを現場で過ごすことになるため、肉体的にもハードな仕事です。
人間関係などでストレスを受けやすい
施工現場には、発注者、設計者、施工業者、下請業者など、さまざまな関係者が関わっています。それぞれの立場や利害関係が異なるため、円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。しかし、時には人間関係のトラブルも発生し、精神的に大きな負担となる場合があります。
また施工管理は、安全管理、品質管理、工程管理、原価管理など、建設プロジェクトのさまざまな側面で責任を負う仕事です。これらの責任は重大であり、ミスは許されません。関係者との調整や問題解決にも常に追われるため、精神的なプレッシャーも大きい仕事です。
給与が見合っていないと感じる
責任の重さや労働時間の割に給与が低いと感じる人も少なくありません。給与水準はほかの仕事に比べて決して低いわけではありませんが、労働時間の長さやプレッシャー、ストレスなどから、「割に合わない」と感じる人は多いようです。
情報の収集や勉強を続けることが必要
施工管理には、建築に関する知識や技術はもちろん、法令や契約に関する知識、労務管理に関する知識、安全管理に関する知識など、幅広い知識や技術が重要になります。
建設業界は、技術革新や法令改正、社会情勢の変化などにより、日々変化しています。施工管理はこれら知識と技術を習得するために常に最新の情報を収集し、勉強を続ける必要があります。
施工管理の仕事がきついと感じた時の対処法
続いて、施工管理の仕事がきついと感じた時の対処法をご紹介します。
きついと感じた理由を深掘りしてみる
まず、なぜきついと感じるのか、具体的な理由を深掘りしてみましょう。業務内容がきつい、長時間労働や休日出勤がきつい、人間関係のストレスや責任の重さがきつい、体力的な問題など、何がきついのかは人によって異なります。その理由によって対処法も変わってくるため、まずはなぜきついと感じたのか、それに対してどのように対策をすれば良いかを明確にすることが大切です。
上司や同僚・身近な人に相談してみる
一人で抱え込まず、上司や同僚、先輩など、信頼できる人に相談するのも良い方法です。同じ職場で働く仲間であれば、共感してもらえたりアドバイスをもらえたりすることがあります。
また、家族や友人など、仕事とは違う環境の人に話を聞いてもらうのも効果的です。客観的な意見をもらうことで新たな気づきが得られるかもしれません。
新たな資格やスキル・知識を身につける
きついと感じる原因が専門知識やスキルの不足にある場合は、資格やスキルアップを目指すのも有効な手段です。資格やスキルを身につければ、仕事への自信がつき、やりがいやモチベーションアップにもつながります。資格やスキルによっては給与アップにつながるものもあります。
ストレスの発散・リフレッシュの時間を作る
仕事で溜まったストレスを解消するためには、休息とリフレッシュが欠かせません。趣味の時間や運動、旅行など、自分がリラックスできる方法を見つけて、定期的にリフレッシュしましょう。十分な睡眠や栄養バランスのとれた食事もストレス解消に効果的です。
転職を検討してみる
上記のような対処法を試しても状況が改善されない場合は、転職を検討してみるのも一つの方法です。自分に合った職場を見つけることで、仕事へのモチベーションが大きく向上する可能性があります。働き方改革を進めている企業を選ぶ、派遣として働く、フリーになるなどの選択肢も検討してみましょう。
きついだけではない施工管理のやりがい
建設現場の司令塔とも呼ばれる施工管理は、責任重大でプレッシャーも多い仕事です。しかしその分、達成感や学びなど、きついだけではない多くのやりがいが存在します。ここでは、施工管理のやりがいを5つご紹介します。
工事完成時の達成感
長期間にわたって携わってきたプロジェクトが自分のリーダーシップによって無事に完成した時の達成感は、何物にも代えがたいものです。施主やチームの仲間などから感謝の言葉をもらうことがやりがいにつながる場合もあるでしょう。
仕事の成果が目に見える形で残る
施工管理者は、プロジェクトの計画段階から携わり、安全管理、品質管理、工程管理などを行いながら建物の完成に向けて尽力します。何もなかった土地に自分の手掛けた建物が建ったり、人々の生活を支えるインフラが整備されたりすることは、施工管理者にとってかけがえのない喜びです。
地域や社会へ貢献できる
建物の建設やインフラ整備など、施工管理の仕事は社会の役に立つ設備に関わる仕事です。完成した建物が地域の人々に喜んでもらえたり、生活を便利にしたりしている様子を見れば、地域や社会に貢献していることを実感でき、大きなやりがいが得られます。また環境に配慮した施設を建設することで、社会に役立っていることを感じられるでしょう。
成長を実感できる
施工管理の仕事には幅広い知識とスキルが求められます。現場で経験を積み、関係者との調整や問題解決に取り組む中で、スキルの向上、そして自分自身の成長を実感できます。
評価が報酬に反映される
上司や施主から評価を得られると、昇給やボーナスに反映されます。特に、自分のアイデアや提案が採用され、プロジェクトがより良い方向に進んだ時には、格別の喜びを味わえます。責任やプレッシャーは大きい仕事ですが、実績を積むことで高収入を目指すことも可能です。
施工管理の給料については以下の記事で詳しく解説しています。
まとめ
施工管理は、現場の司令塔として工事全体を管理する仕事です。責任が重大で肉体的にも精神的にも負担がかかる仕事であることから「きつい」ともいわれますが、一方でやりがいも大きく、自身のスキルや経験をいかせる魅力的な仕事でもあります。
近年、建設業界では、施工管理の負担軽減を目的としたさまざまな建設DXツールが開発されています。これらのツールを積極的に活用すれば、業務の効率化が図れます。また、メンタルヘルスに関する制度や育児・介護休暇制度などを設けている企業もあります。これらの制度を積極的に活用することで、仕事とプライベートの両立が図れます。
「きつい」と感じたら一人で抱え込まず、きついと感じる理由を明確にする、周囲の人に相談するなどして、さまざまな対処法を試してみましょう。
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