建設業界における週休2日制導入の現状は?導入の背景や今後の影響を解説

建設業界における週休2日制導入の現状は?導入の背景や今後の影響を解説

建設業界の週休2日制には、企業のイメージアップによる労働力不足の解消や生産性の向上などのメリットがある一方、工程管理の難しさなどの課題もあります。

この記事では建設業界の週休2日制導入の背景や現状、メリットやデメリット、今後の影響まで詳しく解説します。

目次

建設業界における週休2日制導入の背景

建設業界での週休2日制導入の背景には、日本全体で進む働き方改革が大きく影響しています。

働き方改革は過酷な労働環境を改善し、すべての業界で働きやすい職場環境を作ることが目的です。建設業界の仕事は長らく3K(きつい・汚い・危険)と呼ばれ、労働環境が厳しい業種と思われてきました。その結果、若い労働者の参入が進まず、高齢化が顕著になり、人材不足が深刻化している現状があります。

これを受けて国土交通省は、従来の3Kに代わって新3K(給与・休暇・希望)を掲げ、業界全体の魅力向上を目指しています。その取り組みの一環として週休2日制の導入が進められており、特に2024年4月以降は月45時間、年360時間までの残業制限が設けられました。

週休2日制導入の意義

週休2日制の導入の意義は、労働環境の改善による企業イメージの向上と若い世代の参入促進にあります。

週休2日制の導入によって従業員が十分な休息を確保できるようになり、健康面での問題が軽減されれば、生産性の向上が期待できます。また、休暇をしっかりとれれば家庭や趣味の時間が増え、仕事のモチベーション向上にもつながるでしょう。

若い世代はライフワークバランスを重視する傾向にあります。週休2日制の導入によって「休暇がとりやすく働きやすい職場である」という認識が広がれば、若い世代の参入が促進され、人材不足の解消につながる可能性が高まります。

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週休2日制導入の現状

週休2日制の導入により、大手ゼネコンや一部の中堅企業では土曜日と日曜日を休業とする事例が増え、働き方改革の具体的な成果として注目されています。

一方、天候や進行スケジュールの都合で導入が難しいケースもあります。雨や強風などで工事が一時的に中断されるとスケジュールがずれ込み、それを補うために休日返上での作業が必要となってきます。

また、人件費がかさむ恐れがあることも導入のハードルとなります。週休2日制を維持しながら納期を守るためには、休日を補うだけの作業時間が必要であり、より多くの人員を確保しなくてはいけなくなる可能性があるためです。

義務化の進展と今後の課題

現在、公共工事を対象に週休2日制の義務化が進められていますが、業界全体で週休2日制を普及させるためには、前述のような課題を解決できる新たな仕組みの構築も求められます。その解決策の一つとなり得るのが、建設現場のDX化です。具体的には、建設プロジェクトの進捗を管理するシステムや作業の自動化を支援するロボット技術の導入などがあります。

DXによる業務の効率化は、人材難の時代の課題を大きく改善することにつながり、建設業界でも大きな期待を集めています。ただし、DXの推進では長く業界の慣習となっている作業手順の変更や、それに伴う現場の意識改革が必要です。また、システムの導入にはコストもかかります。今後はこうしたハードルが課題となってくるでしょう。

建設業の技術革新支援事業

建設業界での週休2日制導入を支援するために、国や自治体はさまざまな支援のための施策を用意しています。ここでは、建設業の技術革新支援事業を詳しく解説します。

i-Construction(アイ・コンストラクション)の推進

i-Constructionとは、国土交通省が推進する建設業の技術革新政策で、ICT(情報通信技術)を活用して生産性を向上させる取り組みです。測量、設計、施工、検査といった建設プロセスへのICT導入によって効率化と省力化を実現し、建設現場の革新を目指します。

具体的には、建設機械にGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)やセンサーを搭載して3次元データを基に作業を行うことや、3Dデータの活用で情報共有を円滑化することなどが挙げられます。

参照:i-Construction

建設分野のAI・IoT活用支援

建設分野のAIやIoT活用支援としては、以下のような具体例があります。

  • 無人ドローンによる建設現場の監視
    無人ドローンで建設現場の巡視や点検、計測や異常検知を自動化することで、安全性向上や人手不足の解消といった効果が期待されています。
  • 施工サイクルのAI自動判別
    複数のカメラ映像を基にAIが施工サイクルを自動判別することで、正確な作業区切り時間が共有され、現場全体の管理業務が効率化されます。

革新的な技術導入を後押しする補助金制度

建設業界では、革新的な技術を導入する際のコスト的な負担を軽減するための補助金制度が用意されています。以下、ICT施工の導入に関する補助金をご紹介します。

SBIR建設技術研究開発助成制度

SBIR(Small/Startup Business Innovation Research)建設技術研究開発助成制度は、研究者から建設技術の研究開発に関する提案を広く公募し優秀な提案に対し建設技術研究開発費補助金を交付する、国土交通省による中小企業の技術研究開発への支援制度です。ICT施工やスマート建設技術に関する研究開発が主な対象となります。

IT導入補助金2025

IT導入補助金2025は、中小企業がITソフトウェアを導入する際の費用を支援する制度です。現場管理システムや資材管理ソフトなど、業務効率化のためのシステムやソフトウェアの導入費用が補助対象となります。

先端設備導入制度

先端設備導入制度は、労働生産性向上や賃上げ促進を目的に先端設備の投資を行う中小企業を経済産業省が支援する制度です。たとえば建設現場では、高性能な建設機械や測量機器の導入を支援するなどが挙げられます。

参照:中小企業庁|先端設備等導入制度による支援

「スマート建設技術」普及のためのガイドライン策定

国土交通省は、建設業界のスマート建設技術の普及を促進するために、デジタル技術を効果的に導入・活用するためのガイドラインを策定しました。具体的には、ICT施工やBIM(Building Information Modeling:ビム)/CIM(Construction Information Modeling, Management:シム)の活用に関する標準仕様を示すことで技術導入に伴う効果を最大化し、全体的な生産性向上につなげることを目指しています。

このガイドラインが活用されれば、現場のデジタル化が進み、設計から施工、維持管理までのプロセスの一元管理が可能となります。

参照:国土交通省|建設機械施工の自動化・遠隔化について

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週休2日制導入のメリットとデメリット

続いて、週休2日制の導入が建設業界にもたらすメリットとデメリットを、労働者側・企業側の両者の視点から解説します。

【労働者側】メリット

現場の安全性向上

週休2日制の導入により、現場の安全性向上が期待できます。

建設業界は、高所作業や重機操作など危険を伴う作業が多い仕事です。週休2日制を導入し、休養をとる機会を増やすことは、労働者の疲労やストレスを軽減させることにつながります。適切な休養により労働者の集中力が向上すれば、過労による事故やケガのリスクが低下し、安全性の向上が期待できるのです。

家庭やプライベートの充実による仕事への意欲向上

休日が増えることは、家族との時間や趣味を楽しむ機会が増えることにつながります。生活の質が向上すれば精神的な充実につながり、仕事へのモチベーションも高まるでしょう。特に近年はライフワークバランスが仕事選びの要素の一つとなっているため、週休2日制の重要性が高まっています。

【労働者側】デメリット

収入が減少するリスク

建設業界の給与は日給制が多く採用されており、週休2日制の導入によって就業日数が減少し収入が下がるリスクがあります。たとえば日給18,000円の場合、週休1日制から週休2日制に移行すると、月に4日分の収入が減少し、約72,000円の収入減となります。収入面に魅力を感じ建設業界を選んだ人にとっては大きなデメリットとなります。

技術習得が遅くなる可能性がある

週休2日制によって技術習得が遅くなるデメリットもあります。建設業では、現場での実務経験が技術の習得に直結します。そのため、就業日数が減少すれば、それだけ技術向上が遅れる恐れがあります。

【企業側】メリット

生産性の向上が期待できる

労働者側のメリットでもあげたように、週休2日制を導入することで、労働時間の短縮により疲労やストレスが軽減され、労働者の健康が維持され、生活の質の向上にもつながります。

健康であることや生活の質が向上することで、業務への集中力の高まりや仕事に対するモチベーションがあがり、作業効率が改善されるとともに生産性の向上が期待できるのです。

若年層や多様な人材の確保と離職率の低下

週休2日制を導入すると、厳しい労働条件という建設業界へのイメージを払拭でき、若年層や女性、高齢者など、多様な人材に魅力的な仕事であるとアピールすることにつながります。それが人材確保や離職率の低下につながり、業界全体の人手不足の解消が期待できます。

企業の競争力強化

働きやすい環境を提供する企業は、採用活動で優位性を持つだけでなく、取引先や顧客からの評価も高まります。企業イメージが向上し、業界内での競争力強化にもつながるでしょう。

【企業側】デメリット

コストの増加

週休2日制を導入すると、工期の延長や追加の人件費が発生する可能性があります。特に中小企業や下請け業者にとってコスト増加は経営を圧迫する要因の一つとなるため、適切な予算管理や補助金の活用が重要です。

工程管理の難しさ

休日が増えると、天候や予期せぬトラブルが発生した際に工程の再調整が難しくなります。調整がスムーズに進まないことも多く、工期の遅延リスクが高まることもデメリットです。

短納期工事に対応できない

短納期が求められる工事では、週休2日制が工程に与える影響が顕著です。顧客から求められる品質を維持しつつ納期に間に合わせることが難しくなる場合があります。

週休2日制導入の今後の展望

建設業界の企業にとって、週休2日制の導入は生産性の向上につながります。労働者も十分な休息を確保できるようになり、作業への集中力も生活の質も向上するでしょう。

公共工事を中心に導入が進められている週休2日制は、今後民間工事への波及が期待されています。週休2日制が浸透し、若者や女性なども含めた多様な人材に魅力的な職場であるとアピールできることは、慢性的な労働力不足の解消に直結します。DX促進による業務の効率化とも関連しながら、今後は業界全体にさらに浸透していくことでしょう。

まとめ

働き方改革が進む中、建設業界では週休2日制の導入が必須となりつつあります。それに伴い、企業には、工期の短縮、予期せぬトラブルに対応するための工程管理の見直し、収入減少の不安を解消するための日給制から月給制への給与体系の移行などを検討する必要が生じています。

今後、建設業界では、DXの推進などにより工程管理や施工管理の効率化を図り、短時間で高い生産性を発揮する対策を進めていくことになるはずです。業界が一丸となり週休2日制を実現することで、建設業界はより魅力的な業界に変化していくでしょう。


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