躯体工事とは?躯体の意味や工事の種類、資格について解説

躯体工事とは?躯体の意味や工事の種類、資格について解説

躯体工事は、建物を支えるための骨格を作る工事であり、建物の強度や耐久性を確保するうえで重要です。

躯体は建設業界でよく聞く言葉ですが、躯体工事の内容や必要な資格を知っている人は少ないのではないでしょうか。 そこでこの記事では、躯体の意味や種類ごとの特徴、躯体工事の工程、持っておくと良い資格などを解説します。

目次

躯体の意味

躯体とは、建物を支える骨格となる部分のことです。建物の強度や耐久性を左右する重要な構造部分で、基礎、柱、梁、床、壁などが含まれます。

躯体の種類は、主に木造、ブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造の5つに分類され、それぞれ異なる特徴と用途があります。

木造

木造は主に木材を使って建物の骨組みを作る工法で、日本の住宅建築では一般的な構造です。特に住宅では、木造軸組工法(在来工法)とツーバイフォー工法(枠組み壁工法)の2つがよく使われます。

木材は加工がしやすく、耐震性や断熱性にも優れていますが、耐久性では一般的にほかの構造よりも劣ります。

ブロック造

ブロック造は、ブロックを積み上げ、その中に鉄筋を通し、コンクリートやモルタルで補強した構造です。主に塀や小規模な建築物に使われます。比較的簡単に施工できることからコストが抑えられる一方、耐震性に限界があるため大規模な建築には向きません

鉄骨造(S造)

鉄骨造(S造)は建物の骨組みに鉄骨を使用する構造です。S造のSはSteelの頭文字です。工場や物流倉庫、商業施設などの大規模な建築物に採用されることが多く、強度や耐久性に優れているのが特徴です。一方、コストは膨らみやすく、施工期間も長めになります。

鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋コンクリート造はRC造(Reinforced Concrete Construction)とも呼ばれ、鉄筋をコンクリートで囲い、強度を上げた構造です。鉄筋の引っ張り強度とコンクリートの圧縮強度を組み合わせることで、高い耐久性と耐震性を実現しています。主にマンション、オフィスビル、病院などの中規模・大規模建築物に多い構造です。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、RC造の特徴をいかしながら、さらに鉄骨を組み合わせた構造です。RC造以上に強度を確保しており、高層ビルやタワーマンションなどの大規模建築物に適しています。SRC造は耐震性が高く、重量を支える力にも優れていますが、施工コストは高くなります

躯体工事とは

躯体とは、基礎、柱、梁、床、壁など、建築物の構造体のことです。躯体工事は、建物の構造を作り上げるための工事全般を指します。基礎工事から始まり、柱や梁の組み立て、本体構造の構築までが躯体工事の工程に含まれます。

躯体は建物の基礎となる部分のため、全体の強度や安全性を確保するうえで重要な工事です。

躯体工事の工程

躯体工事は、基礎工事と本体工事の2つの工事で構成されます。それぞれの工事を詳しく解説します。

基礎工事

基礎工事は建物と地盤をつなぐ工事であり、建物全体の耐震性や耐久性など安全性を左右する重要な工程です。地盤の強度に応じて杭打ちをし、布基礎やベタ基礎などの工法が採用され、地震や地盤沈下に対する耐久性を高めます。

基礎工事がしっかりとしていなければ、建物は時間とともに傾き、最悪の場合は倒壊する可能性もあります。そのため、精密な計画と施工が不可欠です。

本体工事

基礎工事が竣工した後は、建物の骨組みを組み立てる本体工事が行われます。建物の柱や梁、床などの主要構造部分を施工する工事で、施工図通りに組み立てられているかの厳密な確認が欠かせません。

本体工事が終わると、次に内外装工事へと進んでいきます。

躯体工事の種類

躯体工事にはいくつかの種類があります。各工事に専門的な技術が求められ、工事の精度が建物の安全性や耐久性を大きく左右します。工事の際に担保すべき品質も併せて解説します。

種類内容
型枠工事コンクリートを流し込むための型枠を作る工事
鉄筋工事躯体の骨格を形成する工事
コンクリート打設工事生コンクリートを型枠の中に流し込み、躯体の形を作る工事
鉄骨工事鉄骨を用いて柱や梁を組み立て、溶接や接合を行う工事
とび工事足場を組み立てて建築作業の安全性を確保する工事
PC工事コンクリートを圧縮して強度を高める工事
あらかじめ工場で製作されたコンクリート部材を現場で組み立てる工事

型枠工事

型枠工事は、コンクリートを流し込むための型枠を作る工事です。型枠が設計図通りの寸法になっていることや、型枠が変形しないようにしっかりとサポートを設置していることが重要です。施工管理者の最終確認を怠らず、法令に基づいた徹底した品質管理が求められます。

鉄筋工事

鉄筋工事は躯体の骨格を形成する工事であり、設計図や仕様書に基づいて正確に施工される必要があります。鉄筋の配置や加工には厳格な基準があり、新工法やJISに即しているかを確認しなければなりません。材料の確認も重要です。

コンクリート打設工事

コンクリート打設工事では、生コンクリートを型枠の中に流し込み、躯体の形を作り上げます。コンクリートの強度や耐久性を確保するため、コンクリート強度の基準値である品質基準強度(Fq)を確認する必要があります。

鉄骨工事

鉄骨工事は、鉄骨を用いて柱や梁を組み立て、溶接や接合を行う工事です。基礎工事で設置されたアンカーと連結し、高力ボルトの締め付けや構造溶接が正確に行われることが、建物の強度を保つうえで重要となります。

とび工事

とび工事は、足場を組み立てて建築作業の安全性を確保する工事です。足場の安定性はもちろん、高所での作業の安全性を確保するための仮設工事も含まれます。

PC工事

PC工事のPCには、プレストレストコンクリートプレキャストコンクリートの2つの意味があります。前者はコンクリートを圧縮して強度を高める工法です。後者はあらかじめ工場で製作されたコンクリート部材を現場で組み立てる工法で、現場での作業を減らすことにより工期の短縮と品質を保つことができます。

プレストレストコンクリートコンクリートを圧縮して強度を高める
プレキャストコンクリートあらかじめ工場で製作されたコンクリート部材を現場で組み立てる

躯体工事を行うために必要な資格はある?

躯体工事を行うために必須の資格はありませんが、施工管理や監督業務に従事する場合は資格の取得が望ましいでしょう。代表的な資格として以下のものがあります。

建築施工管理技士

建築施工管理技士には2級と1級があり、いずれも建築現場の管理業務を担ううえで必要な資格です。

2級建築施工管理技士は、中小規模の建築工事で現場管理を行い、住宅や中規模ビルなどの施工管理を担当します。1級建築施工管理技士は、大規模な建築工事の現場管理や監督に必要な資格で、工事の計画から安全管理、品質管理までを総合的に担うことができます。いずれも、安全かつ高品質な躯体の施工を実現するために重要な資格です。

型枠施工技能士

型枠施工技能士は、コンクリートの型枠工事に特化した国家資格です。型枠の組み立て図を作成し組み立てる技能を有します。精度を保ちながら、安全な作業環境を確保する役割も担います。

建物の形状を決める型枠工事は、コンクリート構造物の品質や強度を左右する重要な工程となります。型枠施工技能士の資格は、躯体工事で信頼性の高い施工を行ううえで有効です。

鉄筋施工技能士

鉄筋施工技能士は、鉄筋工事に特化した国家資格です。建物の骨組みを支える鉄筋の施工図作成や組み立ての技術を習得しており、躯体工事の中でも特に鉄筋を扱う工事に携わります。正確な施工が求められるため、資格があると現場での信用度が高まります。

まとめ

躯体工事は、建物の強度や安全性に大きく関わる重要な工事です。建物には木造や鉄筋コンクリート造などさまざまな構造があり、それぞれに適した工法が存在しますが、躯体工事の質が建物の耐久性や寿命に直結するため、資格を持つ専門家による管理が不可欠です。

躯体工事の現場で必須の資格はありませんが、資格を取得すれば、より専門的な知識と技術を持つ存在として活躍できます。躯体工事の仕事にご興味をお持ちの際は、ぜひ資格の取得もあわせて検討しましょう。


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