架台は、設備機器を設置するために不可欠なものです。建設、設備工事の現場では、機器の安全な設置を可能にするために、架台が重要な役割を果たしています。
建設や設備の仕事に携わっている人や興味がある人のなかには、架台の基礎知識や架台を製作する際のポイントを知りたいと思っている人もいるのではないでしょうか。この記事では、架台とラックの違いや、架台の主な種類、製作の際のポイントなどを解説します。
架台とは

架台とは、設備機器を設置するために用いられる架構のことを指します。特に重量物や精密機器などを安全に固定し、長期的に支えるために重要です。
工場や建設現場では、機器の適切な配置と安定した稼働を確保するために、架台の強度や設計が重要なポイントとなります。設置場所が屋外の場合は雨や風などの自然環境に耐える必要もあります。
架台の役割
架台には重量物や設備機器を支える役割があり、空調機器やサーバー、防災設備などの設置に利用されます。特に防災設備では耐震性や防火性などが考慮されることが多く、強度や安全性が求められ、屋外設置の場合では、錆や腐食に対する耐久性も重要な要素となります。そのため、多様な役割に応じた設計や材料選びが、架台の選定では不可欠です。
ラックとの違い
設備を支える点で共通している架台とラックの違いは構造や用途です。
架台は一般的に柱と梁を組み合わせた構造で、主に重量物や大規模な設備を支えるために使用されますが、ラックを設置するための土台として使用されることもあります。
一方、ラックは箱型の構造をしており、多くの場合は軽量なものや整理整頓のために使われます。
構造 | 用途 | |
---|---|---|
架台 | 柱と梁を組み合わせた構造 | 重量物や大規模な設備を支える ラックを設置する土台 |
ラック | 箱型の構造 | 軽量なものを支える 整理整頓 |
主な架台の種類
架台にはさまざまな種類がありますが、特に代表的な3つのタイプを解説します。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解し、用途に適した架台を選定しましょう。
スチール架台
スチール製の架台は強度が高く比較的安価で提供されるため、幅広い用途で使用されています。コストを抑えつつ強度も保ちたい場合に最適です。
しかしスチールは錆びやすく、屋外での長期間の使用時は注意しなければなりません。リサイクルができないデメリットもあり、環境面での配慮が求められるでしょう。
ステンレス架台
ステンレス製の架台は錆びにくい特性を持ち、耐久性が高いのが特徴です。屋外や長期間にわたる耐久性が求められる場所で多用されています。
しかし加工が難しくコストも高いため、使用される場面が限られます。またスチール同様、ステンレス架台もリサイクルが難しい点がデメリットとして挙げられます。
アルミニウム架台
アルミニウム製の架台は軽量で加工しやすく、スチールやステンレスに比べて安価です。また錆びにくくリサイクルも可能なため、環境にも優しいといえます。
しかし、強度の面で劣ることがデメリットです。重量物の設置には適しておらず、軽量な機器や一時的な設置などの利用に向いています。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
スチール架台 | 強度が高い 比較的安価 | 錆びやすい リサイクルできない |
ステンレス架台 | 耐久性が高い 錆びにくい | 加工が難しくコストがかかる リサイクルできない |
アルミニウム架台 | 軽量で加工しやすい 安価 錆びにくい リサイクルできる | 強度が低い |
架台の製作手順
では、架台を製作する際の一般的な手順を解説します。以下の4つの手順を覚えておきましょう。
材料を調達する
まずは、製作する架台の要件に合った材料を選定します。架台が設置される場所や支える重量に応じて適切な素材を決定し、必要なサイズに合わせて材料を調達します。
耐久性や耐腐食性も考慮しましょう。たとえば、屋外設置の場合は、錆びにくい素材や防錆処理が施された材料を選ぶことで、長期的な使用に耐えられる架台が製作できます。
サイズに合わせて切断する
次に、必要なサイズに合わせてレーザー切断機などで材料を切断します。正確な寸法での切断は、架台の安全性や耐久性を高めるために欠かせない条件です。そのため、架台の製作手順で極めて重要な工程となります。切断時に起きる機器の振動や熱による影響を最小限に抑えることが求められます。
バリを取る
切断後には切断加工部に「出っ張り」(バリ)が発生するため、そのバリを取り除く工程です。バリを取り除かないと溶接や組み立ての際に支障をきたすことがあり、安全性にも影響を与える恐れがあります。また、溶接不良や部品の精度低下、さらには怪我のリスクにもつながります。
バリを取り丁寧に仕上げれば、その後の作業工程もスムーズになり、品質の高い架台が製作できます。
溶接する
最後に、各部材を溶接します。架台の強度や安全性を確保するためにも、確実な溶接が不可欠です。
特にアルミニウムは溶接時に歪みが生じやすく、技術者の技量が仕上がりを左右します。高い溶接技術が求められるため、熟練の技術者による作業が欠かせません。
架台を製作する時のポイント
架台には、強度や安全性、耐久性が不可欠です。そうした要素を確実に満たすためにも、架台を製作する際にはいくつか重要なポイントを押さえる必要があります。ここでご紹介する注意ポイントをしっかりと理解しておくことで、より安全で耐久性の高い架台が製作できるでしょう。
強度を確保する
まずは、架台の設置目的に見合った十分な強度の確保が重要です。特に、重量物を支える場合には設計段階から強度計算を行い、安全性を確実に確保しなければなりません。
周囲の環境や使用条件に応じた耐久性・耐震性の考慮も重要です。設置場所によっては風や地震などの外的要因に耐えられる構造が求められるため、設計には細心の注意を払いましょう。
目的にあった板厚を使用する
架台の用途に応じた板厚を選ぶことも重要です。厚い板は強度を高めますが、その分加工が難しくなり、製作にかかるコストや時間も増えてしまいます。また、板厚が過剰になると重量が増すため、搬入や設置の手間も大きくなります。使用目的や予算、設置環境に応じた最適な板厚の選定を心掛けましょう。そうすることで、効率的かつ経済的な架台の製作が実現します。
適切な溶接方法を選ぶ
架台の強度を高めるためには、適切な溶接方法を選ぶことも重要です。
溶接箇所の接合部をすべて溶接する全周溶接は、架台の強度を高めるうえで効果的な溶接方法です。ただし、全周溶接には高い技術が求められ、コストもかかります。溶接の種類や位置によっては耐久性や耐震性にも影響を与えるため、十分な検討が重要となります。
どの部分にどのような溶接が合っているかを適切に判断し、安全性とコストのバランスをとりながら、最適な架台を製作しましょう。
まとめ
架台は、機器や設備を安全に設置し、安定した稼働を可能にするために重要な役割を果たします。そのため、架台の選定や製作では、強度や耐久性、材料選び、溶接技術など、多くの要素への配慮が重要です。
適切な設計と製作手順を理解し、目的に合った架台を用意することで、安全で効率的な設備運用が実現できます。この記事をきっかけに、ぜひ安全で強い架台製作の知識を身につけてください。
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