主任技術者になるには?資格の重要性や建設業界でキャリアを築くための要件とは

主任技術者になるには?資格の重要性や建設業界でキャリアを築くための要件とは

建設業法では、現場に主任技術者の設置が義務付けられていますが、そもそも主任技術者はどんな業務を行うのでしょうか。また、主任技術者になるにはどうすればいいのでしょうか。

この記事では主任技術者の業務内容や資格の重要性、建設業界でキャリアを築くための要件を解説します。

目次

主任技術者とは?

主任技術者とは建設業法で定められた、建設工事を施工する際に現場に配置しなければならない技術者のことです。適正で適切な施工を担保することが目的となります。

業務内容と配置義務

主任技術者の主な業務内容は以下の通りです。

  • 施工計画の作成・管理
    工事の工程表や品質管理計画を作成・管理します。
  • 安全管理
    現場の安全管理体制を構築し、作業員の安全確保に努めます。
  • 品質管理
    施工中の検査や試験を行い、工事が法令や契約書に基づいた品質で施工されていることを確認します。
  • 工程管理
    工事が計画通りに進捗していることを確認し、遅延が発生した場合は原因を分析して対策を講じます。
  • 関係者との調整
    発注者、設計者、下請け業者など、関係者との調整を行います。

主任技術者の配置義務は建設業法で定められています。建設業者は、元請けの場合は下請け金額が4,500万円未満(建築一式工事の場合は7,000万円未満)の工事を施工する時には、必ず主任技術者を配置する必要があります
ただし2020年10月の建設業法改正で主任技術者の配置義務が見直され、一部工事については一定の要件を満たす場合に主任技術者の配置が不要となりました。

専任と非専任の違い

主任技術者には「専任」と「非専任」があり、工事請負金額の違いによりどちらになるかが決まります。

専任の主任技術者は、請負金額3,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)の工事に配置されます。専任とは、ほかの工事現場の主任技術者や監理技術者、営業所の専任技術者との兼任を認めないことを意味します。継続的に当該建設工事の現場におり、当該工事現場に係る職務にのみ従事しなければなりません。ただし、必ずしも現場に常駐しなければならないわけではありません。

これに対し、請負金額3,500万円未満(建築一式工事の場合は7,000万円未満)の工事は、ほかの現場と兼任する非専任の主任技術者を配置しても良いこととなっています。

監理技術者との違い

主任技術者と監理技術者は、どちらも建設現場で重要な役割を担っていますが、役割には違いがあり、工事金額や必要資格にも違いがあります。

前述の通り、主任技術者は請負金額4,500万円未満の工事に配置されますが、監理技術者は請負金額4,500万円以上の工事に配置されます。また、主任技術者は元請け業者または下請け業者の現場責任者として、施工計画の作成・管理、安全管理、品質管理、工程管理、関係者との調整を行いますが、監理技術者は上記に加え、元請け業者から下請け業者への技術指導、下請け業者の施工の監督も行います。

主任技術者の資格を取得するための要件

主任技術者の資格を取得するための要件には、主に学歴、実務経験、必要資格があります。以下にそれぞれ解説します。

実務経験の年数

一定期間以上の実務経験がある場合には、主任技術者の資格を得ることが可能です。ただし、必要となる実務経験の期間は学歴によって異なります。

指定学科の卒業者

学校で指定学科を学び、以下のように実務経験年数を積むと、主任技術者になることができます。

大学(短期大学含む)、高等専門学校の指定学科卒業の場合3年以上の建設実務経験が必要
高等学校の指定学科を卒業している場合5年以上の建設実務経験が必要
それ以外の学歴の場合10年以上の建設実務経験が必要

指定される学科は、建築学科、土木工学科など、担当する工種により違いがあります。詳しくは以下Webサイトをご覧ください。

なお、実務経験とは建設工事の施工に直接携わった経験を指します。建設会社に在籍していても、営業や事務など施工以外の職種は実務経験として認められません。

複数業種の経験者

複数の業種で実務経験を積んだ場合でも、一定の要件を満たせば主任技術者の資格を得ることができます。

たとえば大工工事業の主任技術者になりたい場合は、「建設工事業及び大工工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、大工工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務経験を有する者」、または「大工工事業及び内装仕上工事業に係る建設工事に関し12年以上の実務経験を有する者のうち、大工工事業に係る建設工事に関し8年を超える実務の経験を有する者」であることが、主任技術者の資格取得要件となっています。

つまり、大工工事経験が8年であっても、ほかの職種と併せて12年を超えていれば、大工工事業の主任技術者の資格を得ることが可能となります。

複数業種の実務経験について、詳しくは以下Webサイトをご覧ください。

資格の有無と必要な資格

学歴・実務経験がなくても、以下の4つのいずれかの資格を取得していれば主任技術者の資格を得ることができます。

2級施工管理技士

2級施工管理技士は、建設業法で定められた国家資格で、建築工事、土木工事、電気工事、管工事など7つの工事で施工管理業務を担うための資格です。安全管理、品質管理、工程管理、施工計画、下請け業者との調整、関係官庁への届け出などが主な仕事内容となります。試験では主に、建築学や施工管理法、法規などの問題が出題されます。

2級施工管理技士について、より詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。

二級建築士

二級建築士は、建築基準法で定められた国家資格で、木造建築物の設計製図、建築確認申請、工事監理などの業務を行うことができます。試験内容は、建築計画、構造、施工、法規、製図などです。二級建築士を取得すると建築関係工事全般の主任技術者になることが可能です。

第二種電気工事士

第二種電気工事士は、600V以下の電圧で受電する一般用電気工作物の工事を行うための国家資格です。一般住宅や店舗などの電気配線工事をはじめ、コンセント、スイッチ、照明器具の取り付け、電気機器の修理や保守を担当します。

試験は、学科試験(電気に関する基礎知識・配電理論・電気工事の法規や施工方法)と技能試験(実技試験)の2つに分かれています。取得後、3年の実務経験を経て、電気工事業の主任技術者になることが可能です。

技能士

技能士は、技能検定に合格した人に与えられる国家資格です。技能検定は、働く人々の有する技能を一定の基準により検定し、国として証明する国家検定制度で1級・2級・3級・単一等級に分かれています。

技能士には131職種あり、それぞれの職種で高度な技能を発揮し安全かつ効率的に業務を行うことが求められ、検定は学科試験と実技試験の2つです。建設関係のほか金属加工、電気関係の職種など、その業界・職種は多岐にわたります。

1級・2級・単一等級の合格者が主任技術者の資格が得られますが、2級の場合は、技能検定合格後に1年以上(平成16年度以降の合格者については3年以上)の実務経験が必要です。

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主任技術者になるための手続き

実務経験や資格など、主任技術者になるための要件を満たしたら、それを証明する書類を用意します。主任技術者として働く際は、施主や元請け業者などの発注元へその書類を提出します。

具体的に必要となる書類は以下の通りです。

  • 国家資格証明書、資格者証のほか、免許証、登録証、合格証明書など
  • 実務経験証明書
  • 登録技能者講習受講の場合、登録基幹技能者受講証明書(講習修了証)

主任技術者の資格取得に当たっての注意点

主任技術者の資格取得には、いくつかの注意点があります。以下3点を解説します。

直接的な雇用関係であること

建設工事の適正な施工を確保するため、主任技術者は発注者(施工者・建設業者)と直接的な雇用関係にあることが必要とされています。

直接的な雇用関係とは、主任技術者と発注者(施工者・建設業者)との間に第三者の介入する余地のない雇用関係であること、と定められています。一般的には正社員雇用が前提となり、派遣社員や出向社員は直接的な雇用関係には該当しないとされます。

恒常的な雇用関係であること

主任技術者が発注者(施工者・建設業者)と恒常的な雇用関係にあることで、発注者は主任技術者に対して指揮命令を徹底でき、主任技術者は発注者に対して責任を負うことになります。

恒常的な雇用関係とは、一定の期間にわたり発注者の指揮命令に従って日々一定時間以上職務に従事することが担保されていること、と定められています。原則、短期間の雇用や業務量に大きな変動がある雇用は恒常的な雇用関係には該当しないとされます。

現場の兼任はできないこと

原則として、主任技術者は1つの工事現場に対して1人配置され、現場の兼任はできません。しかし、以下のような場合は複数の工事現場を兼任できます。

  • 専任工事(発注者と請負業者の間で締結する請負契約の請負金額が3,500万円以上、建築一式工事の場合は7,000万円以上)ではないこと
  • 工事内容が重複または密接に関連しており、それぞれの工事現場が同一または隣接した場所にあること

まとめ

主任技術者は、建設工事の円滑な遂行に不可欠な存在です。責任感と専門知識を備え、現場を統率するリーダーシップが求められます。

ご紹介したように、主任技術者の資格取得に当たってはいくつかの要件や注意点があり、正しい理解が求められます。主任技術者を目指す際は、どうすれば自身が主任技術者になれるのか、要件や注意点をしっかりと理解するところから始めましょう。


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